EA「トワイライト」を検証してみた -他通貨ペア-

噂の他通貨ペアも通用するの?
開発者のFX貴族さんのブログでも触れられている、『対象通貨ペア以外の他通貨ペアでも通用する説』。
さて、この『トワイライト』ですが、説明ページでは5通貨ペアでの使用可能とありますが、実はEUR/GBPの成績もなかなか悪くないんです。また、利用者様の情報によると、USD/CHFも悪くないそうです。
対象通貨ペアであれだけ安定した成績の「トワイライト」ですが、他の通貨ペアでも通用しそうだとのことなので、さっそくバックテストで検証してみました。
バックテスト実施の前に
その前に、今回のバックテストのルールを説明します。
- Titan FX・Blade口座
- ヒストリカルデータ:Dukascopy
- スプレッド値:Titan FXのHP掲載各通貨ペアの平均スプレッドを参考に割増した値
- バックテストの期間:2005年以降でDukascopyに保存されている期間
- 上記以外のパラメータはデフォルト設定
ブローカーと口座種類
プローカーはTitan FXで、口座種類はBlade口座、ドル建てになります。Blade口座はスプレッドが狭く、スキャルピングやデイトレードに向いています。ただし、取引手数料が「1lotあたり7USD(往復)」差し引かれています。0.1lotで運用する場合は0.7pips(往復)になります。
ヒストリカルデータ
ヒストリカルデータにはDukascopyのデータを採用しました。ヒストリカルデータの採用には、「アルパリが良い」とか「FXDDが主流だ」とか諸説ありますが、私が確認してみたところ、ヒストリカルデータの採用先ブローカーでよく話題に上がるどこのブローカーも1分足のデータに抜けがあることがわかりました。
そもそも、MT4を使ってバックテストをする際、使用する5分足や1時間足の足情報は、1分足から生成します。なので、1分足のデータに抜けがあると、全ての時間足が、実際に配信されたレートとかなりずれた情報で生成されます。
足の抜けを自分で確認した中でも、Dukascopyだけは足の抜けが確認できなかったので、このブローカーのヒストリカルデータをバックテストに使用するデータに採用しています。
スプレッド値
スプレッド値については、各通貨ペアによってブローカーHP掲載の平均スプレッドが1.0pips以下のペアもあれば、数十pipsというものもあります。例えばバックテストで「全通貨ペアのスプレッドを3.0pips固定」でテストするとフェアではありません。
今回はTitan FXのHP記載の各通貨ペア平均スプレッドを0.5pipsごとにグループに分け、更にその平均値に1pips足した値を0.5pips刻みに切り上げた値を今回の各通貨ペアのスプレッド値に採用しました。
分かりづらいですね。例を示します。
例:EUR/USD 0.2pips + USD/JPY 0.33pips + ZAR/JPY 0.44pips = 平均 0.32pips + 1.0pips → 1.5pips
バックテストの期間
Dukascpyからダウンロードできるヒストリカルデータは、各通貨ペアごとに開始期間が異なっています。2005年01月01日~2017年12月16日に指定し、ダウンロードできたものをそのままヒストリカルデータに採用しました。その結果、指定通りの期間をダウンロードできたペアもありますが、AUD系は比較的短い期間でした。
バックテストの評価はどうする?
前述したとおり、通貨ペアごとにヒストリカルデータの期間が違うので、最も期間が短いものに合わすのがベターかと思います。しかし、AUD/CHFのペアの期間が2005/11/11からでしたので、これでは全てのバックテストを直近2年間の短期でテストすることなります。
出来るだけ長期間のバックテストを参考にしたいと思うので、MT4で期間を2005/01/01~2017/12/16に指定して、各通貨ペアのヒストリカルデータがダウンロードできた分だけテストすることにします。
評価は「リカバリーファクター(RF) = 純利益 ÷ 最大DD」で行おうと思います。
20通貨ペアのバックテスト結果
さっそくEA「トワイライト」で他通貨ペアのバックテスト結果をダーッと貼り付けました。
Titan FXの通貨ペアの平均スプレッドでいうと4pipsまでが限度と仮定して、20通貨ペアのバックテストを実施してみました。
全部見るのが面倒くさいという方は → 総括 へ
※クリックで詳細表示。
視覚的に見て
の成績が良いですね。
リカバリーファクター(RF)で評価
EAを使えるものかどうか判断する材料として、多くの方がプロフィットファクター(PF)に注目しています。
しかし、実はPFの数値は、必ずしも成績に比例するとは限りません。目安のひとつとする程度なら問題ありませんが、「PFの数値が高い=良いEA」という判断をされている様であれば注意が必要です。
PFが1.0以下の結果のものは、相場に対応できていないのが明らかなので省きますが、PFが1.0以上で成績不振だった通貨ペアを挙げます。
RF | PF | MAXDD | 勝率 | 取引頻度/月 | |
EUR/GBP | 1.96 | 1.23 | $1023.61 | 65.06% | 15.92回 |
CAD/JPY | 1.76 | 1.15 | $903.49 | 71.55% | 16.04回 |
EUR/CHF | 1.71 | 1.30 | $1366.69 | 63.02% | 17.72回 |
ZAR/JPY | 0.90 | 1.54 | $2454.87 | 55.72% | 21.57回 |
GBP/AUD | 0.82 | 1.10 | $2132.82 | 84.99% | 22.67回 |
EUR/AUD | 0.56 | 1.11 | $1599.80 | 75.93% | 26.50回 |
AUD/JPY | 0.28 | 1.03 | $574.49 | 72.17% | 23.89回 |
成績不振だった通貨ペアを、RFの数値が高い順に並べてみました。
ご覧いただくとわかるかと思いますが、ZAR/JPYは「PF=1.54」もあります。しかし、グラフを見てもわかるとおり、中盤から成績が落ちてきて、最後まで回復できずに終わっています。「PFの数値が高い=相場に対応できるEA」ということではないのがわかります。
また、どの通貨ペアもPF、MAXDD、勝率を見ても、成績としては悪くはないです。取引頻度も平均すると1~2日に1~2回程度なので、かなり積極的にトレードする様です。しかし、RFの数値が小さいですね。ここでRFの数値の大小を言っても、基準がないのでわからないと思います。グラフにも現れていますが、とりあえずは、RFが小さいとグラフがきれいな右肩上がりになっていないという事だけを確認して次に進みます。
では、好成績だった通貨ペアはどうなのかを見てみましょう。
RF | PF | MAXDD | 勝率 | 取引頻度/月 | |
GBP/CAD | 17.11 | 1.84 | $327.13 | 82.73% | 18.98回 |
CHF/JPY | 11.61 | 1.58 | $457.83 | 76.86% | 17.72回 |
GBP/CHF | 9.21 | 1.79 | $1041.94 | 80.59% | 18.93回 |
USD/SGD | 7.79 | 2.17 | $1316.37 | 78.69% | 26.50回 |
AUD/CAD | 7.35 | 1.49 | $200.63 | 71.62% | 19.88回 |
AUD/CHF | 4.48 | 1.94 | $326.65 | 78.48% | 19.25回 |
USD/CHF | 4.34 | 1.45 | $989.15 | 71.13% | 15.56回 |
こちらは成績が良かった通貨ペアを、RFの数値が高い順に並べました。
まず、RFの数値が先ほどと比較して大きいですね。各通貨ペアの損益曲線のグラフを見ても、きれいな右肩上がりがです。私の主観だと、運用するのであればRFの数値は「5」以上は欲しいところです。それくらいあれば、バックテストできれいな右肩上がりの損益曲線を描き、相場にも対応できるEAである可能性が高いと考えます。表の下2つの通貨ペアはRFが5以下なので、ダメかとう言うとそうではなく、デモ口座でしばらく様子見が必要かなという感じです。
ただし、注意が必要なのは「RFが大きければ大きいほど良い」というのは間違いです。あまりにRFの数値が大きいEAは過去の値動きになぞって調整されたEAである可能性が出てきます。これを「カーブフィッティング」といいます。見た目の成績が良いEAを作りたいばかりに、調整がただの数字遊びに転じてしまい、実運用に耐えられないEAが出来上がります。今回のトワイライトの場合は、全ての通貨ペアをフォルト設定でバックテストした結果なので、カーブフィッティングの心配はありません。
あと、実際の相場はスプレッドの拡大やスリッページ、ブローカーの配信レートの違い等、バックテストでは再現できないものがありますので、実運用の成績はバックテストの結果よりは落ちることを忘れてはいけません。
ということで、「トワイライト」は対象の5通貨ペアの他に、上表の「RF=5以上」の5通貨ペアでも運用できそうです。
総括
さっそく、その通用しそうな5通貨ペアの結果を結合してみました。
12年間で$10,000→$32,254になり、RFは21.68にもなりました。つまり、バックテスト上での話ですが、損失を打ち消し合ってドローダウンを抑えながら、利益を積み上げていくことに成功しています。
ということは、もともと対象通貨ペアとされている5通貨ペアに、今回判明した他の5通貨ペアを同時に走らせて全10通貨ペアでポートフォリオを組めば、更に良い結果が期待できそうですね。
そのポートフォリオ結果も後日アップする予定です。
次回は、「トワイライト」のバックテストとフォワードの乖離について書いてみようと思います。
では^^